同人イベント――同人誌即売会は、まさに「戦場」。
お目当てのサークルを目指して急ぎ足の一般参加者達は、スペースをひとつひとつゆっくり確認したりしません。
頑張って作ったのに、誰にも気づかれずに終わった……
そんなことになったら悲しいですよね。
同人即売会で作品を手に取ってもらうには、スペースの作り方=“見せ方”がすべてと言っても過言ではありません。
同人誌即売会は、「設営」で格段に反応が変わります。
この記事では、初参加の方でも“そのまま真似できる”具体例とともに、陳列術・NG回避術・心理導線設計をお届けします。
素通りされないスペース設営とは?
具体的なテンプレート・チェックリスト・注意点・体験談を一冊のガイドとしてまとめました。
これを読めば、見てもらえる・立ち止まってもらえる・買ってもらえるスペース設営を、確実に作れるようになります。

同人イベントの設営とは?初心者がまず押さえるべき基本
1. スペースサイズを確認する
多くの即売会では、幅90cm×奥行45cm×高さ70cmの長机1枚が1スペースです。
- 前面3分割で「主力展示/ポップゾーン/頒布在庫」
- 奥行を使って「バックヤード(ストック)」エリアも確保
まず自宅のテーブルで「幅90cm×奥行45cm」を計りましょう。
展示、ポップ、在庫、釣り銭入れ……置きたいものがどれくらい入るか確かめておくようにしましょう。
2. 必須持ち物&チェックリスト
設営用品 | 養生テープ・マスキングテープ・ハサミ・カッター |
表示物 | 卓上スタンド・ポップ・値札・パネル |
ディスプレイ | ブックスタンド/イーゼル/折りたたみ雛壇 |
お金管理 | コインケース/ポータプル金庫 |
宣伝ツール | 名刺・チラシ/SNS用QRカード |
緊急対応 | 大容量モバイルバッテリー/輪ゴム |

スペースを「目立つサークル」に変える5つの工夫
1. 表紙やグッズは立てて魅せる
ブックスタンドで表紙を中腰・立ったまま見える高さに配置。
遠くの通路からも視認でき、吸引力抜群です。

2. 値札とポップで“説明しなくても伝わる”空間をつくる
前を通る一般参加者達にいちいち作品の紹介なんてできません。
「チラッと見ただけで何を頒布しているのかわかる」を目標にポップなどを用意しましょう。
- 値段、作品概要、対象年齢、ジャンルを明示
- 例:「創作BL/全年齢/ハッピーエンド短編集・500円」
- 文字サイズは14ポイント以上で大きく
- 白地+黒縁で、視認性向上


3. テーブルクロスで“世界観”を演出
- 作品の世界観に合う雰囲気とカラーを選定。
- 通路側は垂らすことで机下の荷物を隠せます(推奨サイズ:90×130cm)。
テーブルクロスはなるべく落ち着いたデザインのものを選びましょう。
可愛い生地を選びたくなりますが、テーブルクロスが派手すぎると上に載せている頒布物が目立たなくなってしまいます。
筆者のおすすめは黒や紺の無地です。
4. 高低差をつけて立体陳列
- ブックスタンド+パネル背景+グッズ台
- 同じ平面より視線にストーリー性が出て“立ち止まりやすい”


5. 少数でも豪華に見せる工夫
- A4パネルや色紙・ノベルティを活用し、空間の密度感を演出
- 卓上にもお品書きやポスターを置いてわかりやすく
- メッセージ表記「一言で作品が伝わる」が効果的

特に、卓上にお品書きを置くとかなり便利です。
買い手にとってはわかりやすいですし、スペースの見た目の華やかさも大きく上がります!
これだけは避けたい!設営のNGパターンと改善法
頒布物が平積みで見えない
対処:ブックスタンドで前傾+表紙見せ
平積みは意外と見にくいです。
そもそも平積みとは、至近距離から見ることを想定した並べ方です。
通路を歩きながら見ている人からは全くと言っていいほど見えません。
できれば立体陳列棚やブックスタンドで立たせて、通路を歩く人からでも見えるようにしましょう。
情報が不足(ジャンル・価格・R指定など)
対処:値札+ポップに要素を網羅
何度も言いますが、表紙を見ただけでは中身なんかわかりません。
「チラッと見ただけで何を頒布しているのかわかる」を目標にポップなどを用意しましょう。
スペースが寂しく見える
対処:クロス・装飾・高さ・小物等で“厚み”をつける
やる気がなさそうなサークルの出す本が面白そうだと思えるでしょうか?
「とりあえず来たからテキトーに頒布します」という雰囲気のサークルと、「イベントに向けてしっかり準備してきました!」という雰囲気のサークル、どちらに立ち寄りたいかを想像してみましょう。
ディスプレイだけでなく、キャラクターのモチーフのアイテムなどを飾るのもオススメです。
オシャレなカフェのテーブルのようなイメージで装飾しましょう。
ジャンル別・おすすめ陳列アイデア
小説中心サークル
- あらすじ・登場人物・読後感をポップで提示
- 内容を見せる展示で購入案内を補強
小説本は、立ち読みで内容を把握することはまず不可能です。
必ず中身がわかるようにしておきましょう。
漫画中心サークル
- 表紙がしっかりとわかるようにディスプレイ
- 必ず一冊は「見本誌」を用意して、パラパラと確認できるように

グッズ中心サークル
- “展示用”と“販売用”を区別、展示品にはタグ付け
- 階段状棚やイーゼルで立体感を演出
- 陳列位置は目線と手の届く範囲を意識
イベント当日に忘れ物をしたら? 応急処置リスト
値札・ポップの準備を忘れた
新刊を直接搬入している場合、印刷所から送られてきたダンボール箱の中に厚紙が入っています!
スペースでその紙を切れば値札代わりにできます。
カッターを忘れた
ハサミを開いてカッター代わりにしましょう。
もしハサミも忘れた場合、正直かなり不便です。会場内には必ず買える場所があるのですぐに買いに行きましょう。
近隣のサークル主さんから借りられるのであればそれでもOK。
ポスタースタンドを忘れた
会場やホールによりますが、会場内の総合案内所で借りられることがあります。
貸出がない場合、ポスターをテーブル前垂れ式に変更しましょう。
ポスターの上下を養生テープやマスキングテープ貼り付けて、テーブルの前面に垂らします。

スペースは“あなたの声”の代わりになる
スペースは、あなたの作品が「初めて出会う読者」と出会う場所です。
ほんの少しの配置、たった1枚のポップ、クロスの色──そのすべてが「手に取ってもらえるかどうか」を決めます。
設営に正解はありません。
でも、“伝える工夫”をしたスペースは、必ず誰かの足を止めます。
あなたの世界が、誰かの心を動かすために。
次のイベントでは、作品と読者をつなぐ「最強の舞台」を、あなた自身の手で作ってください。
