デザインのアイデア集として話題になっていた『デザイン3000』(翔泳社)。
「3,000ものアイデアが詰まっているなら、仕事や制作の参考になるのでは?」と期待して購入しました。
しかし、実際にページを開いてみての率直な感想は――
結論から言うと 私には価値が無い本でした。
とはいえ、誰に対しても無価値であるとは思いません。
ノンデザイナーには良さそうです。
今回はその理由を正直に書いていきます。
『デザイン3000』ってどんな本?
この本は、レイアウトや配色、あしらいなどの小技をカタログ形式で集めたものです。
デザインのノウハウを解説するような本ではなく、ただひたすらレイアウトの例がずらりと並んでいるだけ。
雑誌やポスター、Webページ、ロゴや名刺といったフォーマットごとに、サンプルが並んでいます。

数だけ見れば「3,000パターン」という圧倒的なボリューム。
見本帳としての体裁は整っています。
一見すると「デザインの辞典」のように使える便利そうな本で、初心者からプロまで幅広く役立ちそうに思えます。
正直に言うと、デザインの出来が悪い
期待していたのは「すぐに使える」「実際の制作に応用できる」アイデア集でした。
ところが実際には――
- ただ画面に文字を置いただけのような、素人でも思いつきそうなレイアウトが多い
- 配色や装飾もチープで、参考にしようと思える完成度ではない
- 数は多いけれど、その大半が「これ、本当にデザインなの?」と疑いたくなるもの
要するに、プロの現場でそのまま使えるクオリティでは全くないのです。
この本は、ひとつひとつのデザインをじっくり参考にするような本ではありません。
だからそれぞれのデザインがハイクオリティであるはずがなく、ある程度は簡素なものであって当然です。
しかし、それにしても、
このクオリティのデザインを3,000個見たところで何にもならないと思いました。
これを買うなら、こっちを買った方が良いと思った
「あるあるレイアウト」
まず、「デザイン3000」の完全上位互換をご紹介します。
コンセプトとか内容がほとんど同じで、作例のクオリティがこちらの方が上です。
というか、「デザイン3000」は多分こういう本を作りたかったんだろうな…と思う。
価格についてもこちらの方がお安いので、本当にこっちの方が良いと思う。悪いこと言わない。
「Webデザイン良質見本帳」

WEBデザインのサンプル帳としては完全上位互換だと思います。
まずタイトル通り、デザインの質が良い。
そして「何故そうレイアウトしたのか」「より良いレイアウトにするには」などの考え方も学べます。
「Webデザイン&ワイヤーフレーム比較見本Book」

こちららもWEBデザインですが、Before / After 形式で見れるのでかなりオススメです。
どういうことかと言うと、この本の「Before」にあたるものが、今回の「デザイン3000」のメインコンテンツなんです。
簡単に言えば「デザイン3000」ではBeforeしか紹介されないところ、本書ではAfterまでしっかり見せてもらえるわけです。
だったらこっちを買った方が良い。
「1枚デザインの構図とレイアウト」

チラシ、ポスター、フライヤーなどの、いわゆる「1枚デザイン」のサンプル帳ならこれ。
値段を除けば完全上位互換です。
ただ多少の上乗せをしてもこっちの方が価値があると思いました。
言わずもがな実例で見せてくれるのでサンプルとしての価値が高い上に、
各ページに「このデザインはどんな風に構成されているか」が一目でわかる図解が載っているため最強です。
「飾りで差をつけるデザインアイデア帖」

普通に文句を言ってしまって申し訳ないんですが、ブログ筆者が「デザイン3000」を読んで一番思ったことってこれなんです。
そんなレイアウトは誰でも既に頭の中にあるんだよ…それをどう装飾して見た目を良くしていくかが問題なんだよ…!
そこをカバーするのがこちらの「飾りで差をつけるデザインアイデア帖」です。
"あるある"の定番レイアウトにするところまでは誰だってできる。
そこからどうやってデザイン性の高い「良いデザイン」にしていくかを学べるのがこの本です。
それでも「デザイン3000」に価値があるとすれば?
とはいえ、「無価値」と言い切るのも違うと思います。
- デザインを一度もしたことがない初心者が、「文字や画像をどう置けばいいか」の最低限の形を知るには使える
- とにかく「数」を見ることで、発想のきっかけにはなるかもしれない
- デザインの練習課題として「このダサい例をどう改善できるか」を考える教材にするのもアリ
つまり、全くの素人であれば参考程度にはなる と私は思います。
まとめ:購入を検討している人へ
個人的な感想です。
『デザイン3000』は、私だったら下記の人にはオススメしません。
- 既にある程度のデザインができる人
- スキルアップを目的に本を探している人
- デザインを本格的に学びたい人
- 実務で即使えるアイデアを求めている人
逆に、下記の人にとっては、それなりに役立つ可能性があります。
- まだデザインの世界に触れたことがない完全初心者
- ひとまず大量の見本をざっと眺めてみたい人
私は正直「買って後悔した側」ですが、この記事がこれから購入を検討している方の判断材料になれば幸いです。


