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ChatGPTでデザインを言語化する実践法|“思考を整理するAIプロンプト術”

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デザイナーにとっての「AIとの共作」

ChatGPTを使ったことがある人なら、
「説明文やキャプションは出せるけど、なんだか他人事のような文章になる」
と感じたことがあるかもしれません。

でも、それはAIが悪いのではなく、“質問の仕方”が設計されていないだけです。

ChatGPTは「文章を作るAI」ではなく、
“思考を整理してくれる相棒”として使うのが正解。

この記事では、
デザイナーがChatGPTを使って自分の思考を言語化するプロンプト設計術を、
具体例とテンプレートで紹介します。

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ChatGPTでできる「デザイン言語化」の3パターン

デザイナーがAIを活用できる場面は、主に次の3つです。

パターン活用目的出力例
① 思考整理型制作意図・方向性を明確にする「なぜこのテーマを選んだのか」を整理
② 説明文生成型作品紹介・ポートフォリオ用文章を作る展示・SNS用のテキスト
③ 批評・振り返り型自分のデザインを俯瞰して分析改善点や次へのヒントを抽出

ChatGPTを“質問箱”ではなく“鏡”として使うイメージです。
正しく聞けば、あなたの中にある答えを引き出してくれます。

思考整理に使えるプロンプト例

まずは、自分の頭の中を整えるプロンプト。
これはChatGPTの得意分野です。

プロンプト例:

あなたはデザイン思考に詳しい編集者です。
以下のメモをもとに、私が考えているデザインの方向性を整理してください。
【テーマ】
【狙い】
【使った表現】
【印象】

出力イメージ:

あなたの作品は「静けさ」を主題にしながらも、「動きの余韻」を感じさせる構成です。
線や余白の使い方に一貫性があり、“止まっている中にリズムがある”印象を与えています。

このように、ChatGPTに「編集者」や「批評家」の役割を与えると、
自分の作品を他者目線で見つめ直すことができます。

作品説明文を自動生成するプロンプトテンプレート

次に、ポートフォリオや展示などで使える“説明文の自動生成”です。
ChatGPTは論理構成が得意なので、「構成を指定して出させる」のがコツ。

プロンプト例:

あなたはデザイン分野に詳しいライターです。
以下の情報をもとに、作品コンセプト文を200文字以内で3案作成してください。
【テーマ】:
【目的】:
【表現方法】:
【想定読者】:
トーンは「落ち着いたデザイン展向け」。語彙は専門的すぎないようにしてください。

出力イメージ:

都会の喧騒の中で感じる静けさをテーマに制作しました。
柔らかな曲線と余白を中心に構成し、見る人の心が整うようなバランスを意識しています。

AIが出した文をそのまま使うのではなく、
自分の感情を1〜2行だけ追記して仕上げるのが理想です。

振り返りに使える「批評プロンプト」

自分の作品を客観的に評価するのは難しいもの。
そんなときもAIを“鏡”として使えます。

プロンプト例:

あなたはデザイン講師です。
以下の作品説明をもとに、長所・課題・今後の方向性を3点ずつ挙げてください。
【作品説明】:(自分の説明文を貼る)

出力イメージ:

長所:色と余白のバランスが良く、穏やかな印象を与える。
課題:構図に変化が少なく、視線誘導が弱い。
今後:同テーマで形のリズムを強調した展開を試すと良い。

AIが出した分析をきっかけに、次のデザインの方向性を立てやすくなります。

ChatGPTを使うときのコツ

  • “役割”を与える:「コピーライター」「編集者」「デザイン講師」など
  • “出力形式”を指定する:「箇条書きで」「100文字以内で」「3案出して」
  • “文体”を指定する:「ナチュラル」「展示会向け」「感情控えめ」
  • “素材”を細かく渡す:テーマ・使用色・目的・感情など

AIは「指示の精度=出力の質」。
あなたの頭の中をどう整理したいかを伝えるほど、良い文章が返ってきます。

ChatGPTを“代筆者”ではなく“編集者”にする

AIに任せっぱなしだと、
どんなデザインでも似たような文章になってしまいます。

けれど、AIを編集者のように扱うと、
「自分の思考を引き出して整理するツール」に変わります。

“ChatGPTに整えてもらう”ではなく、“ChatGPTと一緒に探す”。

この姿勢で使うと、
言葉があなたの思考に追いついてきます。

実践:AIで言語化した作品説明のブラッシュアップ例

Before(自分で書いた案)

柔らかい印象のポスターを作りました。
淡い色で優しい感じにしています。

After(ChatGPTと共同編集)

忙しい日常の中で立ち止まる瞬間をテーマにしました。
柔らかな色調と余白を多く取る構成で、見る人が呼吸を整えられるような印象を狙っています。

AIが加えたのは構造と論理。
そこにあなたの感情を重ねると、“プロの言葉”になります。

ChatGPTで得られる最大の成果

ChatGPTを使うことで得られるのは、
文章そのものではなく、「自分のデザインを説明できる力」です。

言葉にしていく過程で、
自分が大切にしている価値観・テーマ・癖が見えてくる。
それはAIには模倣できない、“あなた自身の文体”になります。

言葉は、デザインの後ではなく、デザインの一部。
ChatGPTはそのプロセスを可視化するパートナーです。

まとめ|AIで“考える力”を強化する

  • ChatGPTは「思考整理・説明文生成・振り返り」で活用できる
  • 指示の精度を上げることで、文章の質が劇的に変わる
  • AIを編集者として扱うことで、自分の言葉が明確になる
  • “AIに書かせる”より、“AIと考える”が成功の鍵

デザインを言葉にすることは、自分の考えをデザインすること。
AIは、その思考の輪郭を照らしてくれる光です。

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